親知らずとは
トラブルの原因になりやすい親知らず
一般的に17~30歳頃に生えてくる前歯から数えて8番目の歯のことをいいます。
永久歯の中で一番最後に生えてくるためスペースがなく、横や斜めに傾いたり、骨の中に埋まったまま生えてこない場合があります。このような親知らずは腫れたり隣の歯まで虫歯になることが多く、トラブルの原因になりがちですので、抜歯した方が良いでしょう。
歯磨きを頑張れば抜かないでいいケースもあります。
親知らずの種類
まっすぐタイプ
まっすぐ生えている親知らずは、上の歯とも正しく噛み合わせできていることが多く、残していても特に問題はありません。
他の歯と同じく、歯磨きによってケアしやすいため、日頃から丁寧に磨いていれば残すことができます。
水平埋伏タイプ
横を向いたまま埋まっている親知らずは、基本的に抜歯が推奨されます。
埋まっていることで
- 隣の歯が虫歯になった際にケアしにくい
- 炎症を起こして腫れてしまうリスクが高い
など、そのままにしておくことによるデメリットがあります。
レントゲンによって親知らずと神経が近いと判断される場合は、CT撮影によって位置関係を明確にした上で抜歯する必要があります。
親知らずの抜歯のリスク
抜歯後の痛みについて
親知らずに限ったことではありませんが、手術・抜歯などの外科的な処置をすると、「炎症」が起こります。
炎症|5つの特徴
- 発赤
- 腫脹
- 発熱
- 疼痛
- 機能障害
など、これは身体が自らの力で治ろうとする自然治癒という「生体反応」です。
親知らずの抜歯では、
- 歯ぐきを切開する
- 親知らず周りの骨を削る
という処置をする必要があるため、場合によっては炎症が強く出やすくなります。
親知らずの抜歯で痛みや腫れを経験された方は、その炎症に原因があります。
もちろん個人差があり、必ず強い痛みや大きな腫れになるという訳ではありません。
当院の親知らずの抜歯
痛みへの配慮
当クリニックでは、4つのことに気をつけながら治療を進めて参ります。
1:表面麻酔
麻酔時は痛みを伴います。
表面麻酔を使うことで、その不快感を極力なくせるようにしています。
2:麻酔の針の工夫
麻酔で使用する針は「極細針」を選択しています。
また、使用する麻酔薬は人肌に近い温度に調整しています。(極端に温度に差があると、痛みを感じやすいため)
3:麻酔を効かせるための技術
麻酔を打つときは、もちろん技術が必要です。
経験豊富な歯科医師が担当させていただきます。
4:最高品質の切削器具を使用
歯ぐきの切開や骨を削るときに使われる切削器具は最高品質のものを使用しています。
削る際の振動は、痛みとはまた違った不快感があります。その振動を最小限に抑えながら、処置時間も短縮できるように工夫しています。
炎症への配慮
炎症による痛みや腫れを極力和らげるために
- 最小限の切開
- 最小限の骨削除
- 抗生物質や鎮痛剤の術前・術後投与
- 事前の消炎処置(抜歯前に炎症がみられる場合)
以上に注意して、治療を進めていきます。
傷口を最小限にすることが、炎症を抑えるためには重要なポイントです。
親知らずのQ&A
Q1.親知らずはどのような歯ですか?
A1.
前歯(中切歯)から数えて8番目の歯で、一番奥に生える歯を親知らずといいます。
解説
成人してから生えることが多い(親が生え始めを知らない)ことから、「親知らず」という名前がつけられたといわれていますが、正式には「第3大臼歯」という名前があります。
合計4本の親知らずが存在します。(上下左右で各1本ずつ)
Q2.必ず抜かないといけないのでしょうか?
A2.
必ず抜いた方がいい、という訳ではありません。
解説
- 親知らずの一部が、歯肉から出ている
- 横に埋まっている
という方は、抜歯をおすすめしています。
その状態をそのままにしていると、歯肉の腫れや痛みの原因になる可能性があります。
また、親知らず自体のケアがしにくい(もしくはできない)ことで、隣の歯が虫歯になりやすくなってしまうことも想定されます。それを考慮しても、抜歯をされた方がメリットは多いでしょう。
Q3.周りの歯が痛み出しました…
A3.
炎症を引き起こしている可能性が高いです。
解説
通常の歯と同様に「完全に埋まった親知らず」でも、歯と歯肉の隙間から細菌が入り込んでしまうことがあります。
この細菌感染によって、痛みや腫れの症状が出ます。早めに治療を開始しましょう。
Q4.痛みや腫れ以外の症状はありますか?
A4.
炎症が原因となり、様々な弊害を引き起こします。
解説
炎症が広がることで、
- 喉の痛み
- 口を開閉する際の痛み(動かしづらくなる)
- 首の方に及ぶと、首が腫れる
以上のようなリスクが伴います。
特に、炎症が喉の奥に広がることによって、気道を塞いでしまうことも考えられます。
呼吸困難となり、重篤な状態になる可能性はゼロではありません。悪化する前に、早急な治療を心がけましょう。
Q5.抜かないで治すことはできますか?
A5.
根本的に改善するには、抜歯による治療が必要です。
解説
親知らずに感じる「痛み」は細菌の増殖によるものが多いです。
つまり、痛みが強い場合は、抗生物質の服用によって軽減させることができます。しかし、これは一時的に菌を減らしただけであり、あくまでも対症療法にしかすぎません。
次第にまた細菌が増殖し、痛みが出てくる可能性があります。抜歯をすることによって、細菌が溜まりにくい環境を作ることができます。
Q6.痛みが強いので、すぐに抜いて欲しいです
A6.
まずは炎症を抑える処置を行います。
解説
痛みの原因は「炎症」なので、まずはその炎症を抑えることが重要です。
逆にこの状態で抜歯を開始してしまうと、抜歯後に更に強い炎症が出てしまうことも考えられます。また、中には炎症が強いことで麻酔自体が効きにくくなる患者様もいらっしゃいます。
痛みが強い場合は、まずは抗生物質を服用し、炎症を抑えること。そのあと、炎症が治ったのを確認してから抜歯を始めます。
Q7.抜歯時には、痛み・腫れを伴いますか?
A7.
麻酔によって痛みはほとんど感じませんが、抜歯後は必ず腫れます。
解説
抜歯時の痛みを抑えるために、麻酔をきかせてから治療を始めます。
当クリニックでは、「表面麻酔」「極細の注射針」を使用することで麻酔時の痛みを最小限に抑える工夫をしています。もし、抜歯中に痛みを感じた場合は、遠慮なく仰ってください。麻酔を追加し、痛みがない状態を確認してから、治療を再開します。ご安心ください。
抜歯時に痛みを感じなくとも、治療後はほとんどの方が腫れます。(腫れの大きさには個人差があり)
抜歯の腫れは、治療した翌日〜翌々日がピークとなり、次第に治っていきますのでご安心ください。
―注意
抜歯後に大切な予定が入っている方(例:お仕事でプレゼンテーションがある、大事な面接がある、旅行・出張を計画している、など)は、抜歯をオススメすることができません。
痛みや腫れが数日続いてしまうことを想定して、向こう10~15日程度、大事な予定がないタイミングで抜歯を行いましょう。
Q8.「親知らずは神経に近い」と聞いてから、抜歯が不安です…
A8.
事前検査を徹底し、細心の注意をはらった上で治療をします。
解説
下あごの骨の中には下顎管という管が存在します。
下顎管の中には、下歯槽神経と血管が通過しており、親知らずがこの神経と血管の近くに存在している可能性を考慮する必要があります。
- 神経に近い
- 神経に接している
という方は、抜歯後に「しびれ」を感じる可能性もゼロではありません。
実際、このしびれ(麻痺)が出る可能性は数%とされていますが、あらゆるリスクを想定し、抜歯する必要があります。
抜歯前にはCTを撮影し、親知らずと神経がどのような位置関係に存在しているかを調べたうえで治療を進めて参ります。